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■斜頚 (痙性斜頚) |
くびが、思わぬ向きに向いてしまう。強い緊張で痛い。わずかな刺激でくびが動いてしまう。女性に多い |
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● 症状と原因 |
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症状 頸の筋肉の異常緊張で、くび、頭の位置を正常に保てない。どちらかの方向を向いてしまう、傾いたままになる、など。触るなどの、わずかな刺激で痙攣し、意図しない動きをしてしまう。他人に見られてる、意識してただそうとするなどで却ってひどくなることが多い。頸の筋肉の痛みを伴う。
がちがちに固まって、動かない感じになる。
問題になる筋肉は、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋,僧帽筋,頭板状筋,斜角筋群など。 |
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過労・ストレス 「20-60歳の、男女ともに発生」と、一般的にはされているが、最近の私共の経験例では、20-40代の働く女性ばかりでした。これは、「大半が女性」としてる、アメリカの統計の方が正しいように感じます。
不自然な偏った姿勢の作業継続、過労、心理的ストレスなどが明らかに背景にあります。
よって、同時に、頸から肩、上肢、背腰部、ときには下肢にまで、痛み、重さ、こりが拡がってることがあります。 |
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休養など
十分な休養
心理的な緊張を解く
くび、肩のストレッチ (やや特殊です)
他、全身のストレッチ、軽い運動
薬 症状にあわせて、薬を適宜増減します。
筋弛緩剤 バクロフェン
抗パーキンソン薬 アーテンなど
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抗うつ薬
抗不安薬、睡眠薬
鎮痛薬
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外用薬
湿布、塗り薬
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注射
緊張が持続し、強い痛み、こりを感じ、触ると硬結、しこりがはっきりしてる場合は、その筋肉に「トリガーポイント注射」をする。
特に、ある期間(数週間)を経てからは「しこり」が目立つことがあります。これは痛く辛いものですが、むしろ、治癒の一プロセスとも考えられます。この「しこり」を解決できれば、全体としてぐんと楽になります。
なお、レーザー(低出力レーザー治療)を、最近頸肩腕症候群、腰痛に用い、効果があがってますので、痙性斜頚にも応用可能と考えてます。
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● 原因、諸説 |
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「過労・不自然な姿勢」が入り口のようです |
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ジストニア (DYSTONIA)は、大脳基底核に異常、障害があり、不随意運動がおきる疾患です。
痙性斜頚は、その、局所版の代表とされています。ただ、「基底核異常」として位置づけてしまうと、「治らない」と言ってしまうようなもので、ずっと薬で抑える、問題になる筋肉を麻痺させる、切ってしまうなどの治療しかあり得ないことになる。それでは困った症状を取り除くことにはなるけど、リスクも大きく、不自由にもなります。 |
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大脳基底核
筋肉の運動、緊張を制御する神経が多数寄り集まったもの(神経核)が、複数あり、それぞれ連携して機能してる。
心理的原因
作業に心理的に大きい負担を感じる。不自然な姿勢を強いられてることが気になってしょうがない、理不尽、不愉快に感じる。これらの要因があると、なりやすいと考えられます。
過労・不自然な姿勢
過労からくる症状のひとつのあらわれで、他にも肩、腕、背中、腰に強い痛み、こりを伴うことが多く、頸肩腕症候群の一部ともみなせなます。
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● 大半は治癒可能 |
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おもに高齢になって神経組織の変性(元にもどらない)が起きた場合などはともかくとして、30、40代で過労、作業姿勢などをきっかけとして発症した例(しかも大半)は、心身ともに疲労を回復し、変に身に付いてしまった「動かしかたの癖」を取り除き、健全な頃の正常な動かしかたを身体に思い出させることで解決可能です。
ただし、健全な動かしかたとは、問題がなかった、直前のものとは限りません。また、心理療法、動作訓練だけに頼るのは、せっかくの薬の力を借りないのでもったいないことです。
逆に薬の処方だけでも、効果は期待できません。少なくとも毎回、頸、肩まわりを丹念に触診したり、動かしたりの診察が必須です。 |
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治らない、再発する と言われたり、本に書いてあったりします。ひどくなると、ますます治癒に時間がかかることがあります。頸肩腕症候群と同じ、または良く似ています。痛みもなかなか消えてくれなくなります。軽いうちに、適切な治療、十分な休養、作業条件の改善を始めましょう。
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●他の療法、最後の手段? |
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ボトックス(ボツリヌス菌毒素)を緊張・痙攣する筋肉にうち、神経筋接合部(神経の命令を筋肉に伝える点)を破壊する。確実な筋弛緩ができる。それは戻らないので、また神経の別の枝が伸びて筋肉につながるまで数ヶ月を要する。その間筋肉は使えず萎縮する。
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外科的に筋肉を切る。
支配する神経を切る
より確実に、問題になる筋肉が動かなくなります。ボトックス注射は、手術せずに、これに近い効果が期待できるとして、かなり隆盛です。
脳手術で、基底核を破壊する。
原因論(正しいかどうか別として)からすると、最も根本的な治療法ですが、手術そのもののリスク、他の運動はどうなるのかなど、あまりにも極端かと思われます。 |
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●私の体験記(M.O. 女性) |
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痙性斜頚体験記 |
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その症状が出始めたのは、今年の5月中ごろだったと思います。
仕事で食品レジを2年近くしていて、やっと慣れてきた頃に、右側の首が肩側に引っ張られるような感覚や首が左側に向きづらいような感覚がありました。
最初は寝違えたのかな?と思って気にはしなかったのですが、それが何日も続くので首の骨かどこか痛めたのかと思い、医者(整形外科)で診てもらう事にしました。先生に自分の症状を言いレントゲンをとってもらったのですが、結果は特に異常なし、ただ、首の骨が真っ直ぐですね、と言われただけで何なのかは分かりませんでした。
整体の先生に診てもらった時は、右肩に異常に力が入っているようなので、脳が出す信号に何か異常があるのかも、と言われ、MRIやCTもとりましたが、これも特に異常なし、という事でした。
そうこうするうちに、症状はますます悪化し、仕事中はもちろんお客さんや同じ従業員にはどうしたの?と聞かれるし、仕事が終わり自転車で帰る時は右側に首が完全に肩の上に乗っかって、そのため右肩がじんじんと痛くなるし、家に帰って寝ようとする時も右肩がずっと盛り上がってくるようで中々寝付けませんでした。
原因がわからなく回りの人に聞いても、肩こり?むち打ち?大丈夫?と言われるだけで自分がいったいどうしちゃったのかが分かりませんでした。店が改装してレジの向きが変わったせいなのか、慣れた頃の疲れなのか、いろいろ考えたけどはっきりした原因はわかりません。
○ ○ ○
そんな時にパソコンのインターネットでもしかしたら、レジを打っている人のなる病気ではないかと勝手に思い、職業病で検索して見ました。
検索したらたくさん結果が出てきました。
その中の最初の方に、“芝大門クリニック”の名前があったのです!
そのホームページをずっと読んでいき、職業病の患者さんを何人も診ているところなら、きっと、私のこの変な症状も分かってもらえるはずでは?と思いました。
さっそく、掲示板に書き込みをし、すぐに、病名を教えてもらいました。それは、「痙性斜頚」という病名でした。初めて聞く言葉でそんな病気があるのを私はもちろん、母親や、職場の人も知りませんでした。
私は埼玉県に住んでいるので、芝大門クリニックは東京都で比較的近いので、早速、予約を電話でし、診察に行きました。それは7月始めの頃です。
行ってみたら中はこじんまりとしていて患者さんが何人か待っていて、私も椅子に座り順番を待ちました。診察室に呼ばれて書き込みの記事を見せ自分の症状を説明しました。
不思議と診察中は症状がおさまりました。「痙性斜頚」の症状の事や治療法の事を親切に説明していただきました。
仕事はしばらく休んだ方がいい事と、良くなるにはしばらくかかる事を聞きました。30分くらい診察をし、とりあえず、飲み薬を処方してもらいました。
薬は、ギャバロン、アーテン、ノイロトロピンの3種類です。きっと飲めば、症状が楽になるに違いない・・・。
○ ○ ○
薬を飲むと少しですが首が飲まない時よりは真っ直ぐに出来るような気がしました。
しかし、首がクックッと勝手に動くようになり、じっとする事が難しいような気がします。また時間が経つと首がクタッとなり力を入れても中々真っ直ぐにならなくなります。仕事も客商売なので、見た目も悪いし、自分も辛いので、休職する事にしました。職場の上司に事情を話したら、よくなるまで休んでいて良いと言ってくれたのでしばらく休む事にしました。
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○ ○ ○
芝大門クリニックには2週間おき位に診察に行き、あとは自宅で療養する事になりました。薬はアーテンを増やしたり減らしたりしました。
仕事を辞めると、症状が悪化した様に思います。これは、今まで無理した分の反動が来たのでしょう。ますます、首が右に傾き右肩も上がってきて、左側の首筋がのびた様な感じがします。立っていると辛いので横になってる事が多くなりました。
熟睡している時は不思議と首は傾かないのですが、朝起きると、徐々にクックッと首が動き出し、本当に、何かに引っ張られている様な感じでした。
ご飯を食べる時もすごく食べにくいし、右手で何かするにも、すぐに右肩が痛くなって何をするにも辛かったです。
外を歩いていても斜めに行ってしまうし、本当に治るのだろうかとすごく不安になりました。
仕事をしていなくて、暇なので自分でも「痙性斜頚」の事をいろいろと調べてみました。昔は心の病気とされていた事、男性は仕事上でなる事が多く、女性は精神的な事で突然なる事が多い。現在、患者数は全国で2万人ほど。治療法はボツリヌストキシン注射が有効だという事などが分かりました。
自分がどうしてこの病気になったのかをいろいろ考えてみた所、もともと緊張しやすい方で結構、肩こりは昔からひどかった。前の仕事は電算写植をしていてずっと同じ姿勢をとっていた事。レジの仕事は接客でストレスも多く、常に緊張している事や、同じ動作のくり返し。など原因はいろいろあって、自分がなるべくしてなった病気なのかもしれません。こういう病気があるなら、もう少し、根つめずに、リラックスして仕事をすれば良かったなあと感じました。
○ ○ ○
何度か芝大門クリニックに通い、首や肩のストレッチの仕方やイメージを先生から教わったり、しこりのある部分に注射をしてもらったりしていて、少し症状が楽になってきたのは10月始め頃でしょうか。通い始めてから3ヶ月、発病してから5ヶ月経ったころ、仕事をいつまでも休んでいる訳にも行かず、少しずつ、復帰してみました。
最初は首が少し曲がり、手がしびれて辛かったのですが、だんだん、見た目的に、首が真っ直ぐに出来る様になりました。
今は12月の末ですが、お客さんにも何も言われず、見た目はほぼ完治した様に思います。
芝大門クリニックの先生も見た目は治りましたね、と喜んでくれました。
自分自身も右肩に首がもたれて痛くなる事はもうなく、普通に生活も出来る様にまで治りました。一時はすごく不安になり一生このまま過ごすのかと嘆いた時期もありましたが、本当に良かったです。
ボツリヌストキン注射を打たずに治せて良かったです。でも油断をすると元にもどりそうなので、仕事で無理をしないことと、適度に体を動かし、ストレッチを忘れないこと。緊張しすぎないことが大事だと思います。
○ ○ ○
芝大門クリニックの先生とスタッフの方々、本当にありがとうございます。
またお世話にならないよう(^-^)気を付けて日々すごしていきたいです。
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渡辺(譲)註
M.O. さんにお願いして、痙性斜頚の経過や、この間の感想などを書いて頂きました。何週間か後に受け取れればいいかなと思っていたのに、年末の忙しい時期にすぐに書き上げ、しかも、表題に「おそくなりました」と言われるような方です。私の日頃のいい加減さが恥ずかしくなります。
診察時に何度もうかがってはいるものの、こうして文章になると、心身共の、辛さが改めて思い知らされます。ご本人じゃないと本当の苦しみはわからないかも知れませんが。
感謝しておられますが、自然に治っていたものかも知れません。ただ、休業開始についての「背中のひとおし」とか、若干の苦痛緩和など、職業病専門医療機関ならではのことも少しはあったかもと喜んでおります。
なお、文中の「しこり…に注射」は、トリガーポイント注で、ボツリヌストキシンではありません。
O. さん、原稿ありがとうございました。他の治療中の方も、治癒後の方も、体験記を寄せていただけるよう、お願いいたします。
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